駄文

ひらめき

イースにおける有翼人の設定とそれにまつわるストーリーについて

オリジナルイースにおける有翼人は『神聖な者』という漠然とした設定しかありませんでしたが、イース6から設定が多数追加されています。


まず根底的な設定として以下のものが追加されます。


はるか昔、アトラス海に浮かぶ地に、翼あるものが降り立った。

彼らは緑の土を掘り起こし、そこから光り輝く「エメラス」を作りあげた。


「エメラス」は虹の七色を発し、陸の隅々までを照らした。

そして翼ある者たちは、己の汚れた翼を捨て、白く輝く体を手に入れた。


彼らは白く新しい「精霊母」を作り上げた。


翼ある者の子らは、その清らかな母から清らかな体のまま生まれ落ちるようになった。


その頃、海が溢れて陸を侵した。


翼なき者たち人間と、亜人の群れが流れ着いた。

二組の群れは陸に住みつき、一握りの翼ある者たちがその世話をした。

程なく群れの数は増え、人間らは盛んに舟を出し故郷との間を従来した。

一握りの翼ある者たちは、彼らを水から守るため「エメラス」の匣を作った。


知恵ある人間たちは翼ある者から「エメラス」の使い方を学んだ。

人間は翼ある者の業を真似、さまざまにその術を用い、やがては翼までをその手に求めた。


だが再び海は溢れた。


匣はとめどなく水を飲み込んだが、海はそれを倍にして押し寄せた。

陸が消えていくのを見ると、翼ある者の多くは輝く体を捨て天に還った。


一握りの翼ある者たちだけが留まった。


彼らは、まず亜人を率いて西へ。続いて人間を率いて東へそれぞれに飛び立った。


小脇に「エメラス」の黒い光を携えて。


これらはイース6本編で入手できる「タブラス」から読み取れる内容でも語られています。以下そのタブラスからの情報


◯青のタブラス

まもなく私の上に黄昏が訪れる。

真なる闇に眼が閉ざされる前にこの身に刻まれた記憶だけは書き綴っておこう。

肉と共に朽ちてしまうことがないように。


我らレダがかつてアルマと共にカナンの地にあったこと。

その庇護のもと過ごした心安らかな日々と

やがて訪れた黒き災い。


すでに過去は夜闇に包まれて久しい。

アルマの姿を目にした最後のレダとして

私はこれを遺す。

強靭にして柔軟なるエメラス板は幾星霜を越えてなお読む者の目に狂いなき筆の跡を映じることだろう。

深き闇に挑む者よ

汝の一条の光たらんことを、願うばかりだ


◯赤のタブラス

まず始めに、この筆跡を留めているエメラス自体について、書き記しておかねばならない。

エメラスはエメルという石から紡ぎ出される

結晶質の繊維で、神々の国エルディーンより来たりしアルマによってこの地に伝えられた。


それはかの国の木であり鋼であり母ですらあったという。

凍らぬ水の満たされた釜の中で、様々な色のエメラスが織り上げられ最後に力ある黒と命ある白とが創り出された。


黒きエメラスはあらゆる色彩の力を兼ね備え、

一方白きエメラスはその黒き力に語りかける働きを持っていた。

やがて黒き力は大洋に防人としてそびえ白き輝きは翼となって神々の背に宿ることとなった。


◯金のタブラス

私はまた我らレダと同じくアルマの民としてこの地にあった、尾を持たぬ者らのことも書き記しておかねばならない。

彼らは賢く自らの望みを成し遂げる強さに満ちており、アルマの技を習い覚えるとすぐに自らエメラスを紡ぐまでになった。


あらゆるエメラスを織る術を身に付けた彼らは

やがて黒と白までも紡ぐことを夢見たが

しかし、アルマは決してそれを教えることはなかった。

黒き力は強大であり翼なき者が操ることなどできはしないからだ。

それでも彼らは望みを捨てず自らの洞の中で孤独な研鑽を続けた。


だが彼らが漆黒の光を目にする日はついに訪れなかった。

その釜から生み出されたのは白くも黒くもない灰がかった色のエメラスだけだった。


◯黒のタブラス

このカナンの地を襲った災いと黒きエメラスの匣についても私は書き記しておかねばならない。

アルマによって打ち建てられたと伝えられる漆黒の匣は、力をもって風と波とを鎮めエルディーンの世に遍く安寧をもたらしていた。


だが、尾を持たぬ者らが黒きエメラスの秘密を求めて中へ踏み入ったとき、匣の力は災いとなって降り注いだ。

愚かにも彼らは匣を操ろうとしたのだ。

白き輝きなくして黒き力を御すことはできない。

匣は狂気へ導かれ、海は溢れた。


アルマによって匣が鎮められたときには高みだけを残し陸は水底に消え、カナンの地も島へと姿を変えていた。

付き随いし我らレダの無事を見届けるとアルマは大きく翼を広げた。

そして白き姿をその場に残し天へと還った。


◯白のタブラス

すべてが失われた後も私にはまだ書き記すべきことがある。

災いにより引き起こされた高潮は遠く神々の地まで及んだ。

多くの神々はその地で天へ還ることを望んだが、レダや尾を持たぬ者らを率い新たな大地へと旅立った神々もいたという。


そして我らカナンのレダは亡きアルマの魂を守るべく、島となったこの地の上で生きていくことを選んだ。

まもなく私もあの白き翼に抱かれ聖なる地へと向かうのだろう。


過去の記憶は遠く、今は黄昏の気配だけが間近にある。

だが恐れはない。

闇を過ぎずして朝は訪れぬのだから。

カナンの海に再び静寂の戻るその日まで


読む者よ

優しきアルマの祝福が汝の上にあらんことを。




さてなかなかややこしくなってきましたね。

ではここで簡単にまとめてみましょう。


◯有翼人

有翼人と呼ばれる民は、イースの舞台になっているエレシア大陸とは違う別の大陸、神の国エルディーンから来た異邦の民。

 

彼らはエルディーン文明と呼ばれる独自の文明を築き、エメラスという技術を生み出しました。


エメラスとはエメルという結晶から生み出された結晶質の繊維であり、基本色である赤、青、黄の3色のほか、3色全ての力を持つとされる強力な力を持った『黒』、命を象徴とし黒エメラスを制御できる『白』が生み出されました。


白エメラスこそが有翼人の力の正体であり、彼らが纏う『翼』の正体でもあります。

『白』のエメラス質に覆われた彼らは基本的に『不死の存在』であり、老いもしません。


『死』すらも超越した白エメラスですが、それでも"望めば"『死』を得られるようです。

彼らが望んで自らの魂を肉体から解き放った時、残された肉体は石像のようになります。もちろんエメラスで構成されているため、朽ちることはありません。


イース12でのフィーナとレア、セルセタの樹海でのエルディールが最後に石化したのもこのような理由があるのですね。



◯有翼人と闇の一族

1000年以上前に有翼人の一人である『アルマ』という女性が、アトラス大陸のカナンの地に住むレダという民にエメラスの技術を教えていました。

アルマは近海の海に黒エメラスでできた『ナピシュテムの匣』という巨大な気象制御装置を設置し荒れた海を収め、あれやこれやと民を導いていました。

レダという民は尾を持ち褐色の肌に長い耳を持つ民で、比較的温厚な性質を持っていました。彼らは従順にエメラスの技術を継承していきましたが、技術の革新にはさほど興味はありませんでした。


カナンの地にはレダと共にあるレダ以外の種族もいました。

彼らはレダのような特異な外見的特徴を持っておらず、『尾を持たぬ者たち』と呼ばれていました。


『尾を持たぬ者たち』はレダと違い知識の吸収に非常に貪欲で、アルマからエメラスの技術を習うとあっという間に自らの手で『赤』、『緑』、『黄』のエメラスを紡ぐことができました。

しかし残りの『白』と『黒』はアルマが教えなかったのもあり紡ぐことができませんでした。


それでも彼らは執念深く白と黒を紡ごうとしましたが上手くいきません。結果、どちらでもない『灰』のエメラスができるだけでした。


彼らが紡いだ『灰』のエメラスですが、人の手で作られたエメラスであってもエメラスはエメラスで非常に頑強な硬度を誇っていました。

彼らは灰エメラスを使い龍神兵という兵器を作りました。


《余談:龍神兵とイース本編》

龍神兵は設定が登場したイース6のボスで初登場します。まず最初のボス、はぐれ竜デミ=ガルヴァ。

普通の武器では倒せず、エメルを使用した武器でないとトドメは刺せないという設定です。

ガルヴァという単語に聞き覚えのある古来からのファンはここで「ん?」となります。でもたまたま一致しただけかな?ガルバじゃなくてガルヴァだし。

と、この時は思っただけでしょう。

しかし6終盤に出てくる龍神兵完全体ガルヴァ=ロアと対峙した時に、嫌な符号は一致します。

イース6のボスは名前の下に二つ名のようなものが英語表記されているのですが、ガルヴァ=ロアの二つ名は『The Original Galvaran

なのです。ジ・オリジナル・ガルヴァラン。

ガルバランといえば3の最終ボスですよね。

イース6のアドルの装備はエメルでできた各色エメラスの剣だったので、普通にトドメを刺す事ができました。


6の後に3のリメイクであるフェルガナの誓いが製作されましたが、フェルガナでは6の設定が強く活かされ、ガルバランもカナン諸島由来のはぐれ龍神兵が自我を持って大暴れしましたよ、という設定にされています。

ガルバランが倒した後復活した理由にも、アドルがエメル製の武器を持っていなかったからという辻褄にきちんとなっています。


龍神兵はその後の作品にも姿を見せます。4のリメイクであるセルセタの樹海にも、ヒロインであるリーザが操る白い龍神兵『ソル=ガルヴァ』なる龍神兵が存在します。

白エメラスは人には作れないんじゃ?と筆者も思ったのですが、ソルは限りなく白に近い灰エメラスとの事です。

セルセタには他にも雑魚ではぐれ竜が古代兵器という名で出てくるのですが、セルセタの時代設定ではまだエメル製の武器は持っていないのでトドメはさせず、何度も復活する鬱陶しい雑魚になっています。

アドルは道中で『宝剣エメロード』という剣を授かり、これを用いれば古代兵器にとどめを刺す事ができるようになります。

エメル製だからエメロード、なのでしょうね。

(この宝剣エメロードを時代設定的に次の作品であるフェルガナの時に持ってさえいればガルバランにトドメを刺せたし、チェスターも死ななくて良かったんじゃないかって疑問が出てきますが、セルセタでの冒険が終わった後に持ち主に返してしまったという事で納得しています)



余談終わり。さて尾を持たぬ者たちは黒エメラスと白エメラスを追い求めるまでならよかったのですが、探求力の強い彼らの一部は『闇』を名乗り、あろうことか黒エメラスそのものである気象制御装置《ナピシュテムの匣》に手を出そうとしてしまいます。

《闇》の一族がナピシュテムの匣の制御装置である黒エメラスの剣を持ち去った結果、ナピシュテムの匣の制御装置が暴走を起こしカナン周辺の気候及び海流に大変動が発生してしまいます。

これによりアトラス大陸と呼ばれた地域は高台にあったカナンの地以外を残してほぼ水没してしまいました。

暴走したナピシュテムの匣は有翼人アルマが自らの『白き翼』こと白エメラスの力を解放することで海底に封印されました。この時アルマの魂が天へと昇華。抜け殻の肉体である白エメラスが匣を封印し続けることになります。


カナンの地もナピシュテムの匣を封印する時に発生した大渦に隔離される形で『カナン諸島』として1000年近く外界からの出入りができなくなってしまいました。


一方でナピシュテムの匣に手を出し騒動の原因となった尾を持たぬ者たちは大地を大海に沈めた大罪を深く悔みました。

彼らは有翼人の一人エルディールと共に『セルセタの地』へと渡り、後に『ダナンの里』と呼ばれる巨大な地下空洞で贖罪の日々を送ることになります。これらはセルセタの樹海の作品内である程度触れる事ができます。


ナピシュテムの匣暴走からおよそ200年後。

セルセタの地にてエルディールが導き発展したセルセタ王国は、エルディールの人格が暴走した結果壊滅する事になります。

セルセタの地も大森林へと環境が激変。のちにセルセタの樹海へと呼ばれる事となります。


そこからさらに100年後。


舞台は変わりエステリアという地域。ここにはカナンから逃れた双子の有翼人、レアとフィーナが興した魔法王国イースがありました。

彼女らはカナンから持ち出した黒エメラスである『黒真珠』を使い魔法を、そしてクレリアという銀を生み出し、イースを繁栄させていました。

しかし黒真珠には大地の流れを歪ませるという力、クレリアには黒真珠の力を増幅、拡散するという力がありました。これらは女神も計りえぬ副作用だったようです。


それらによる歪みから、純粋なる負の想念と呼べるべき存在『魔の根源』が発生してしまいます。


イースの中心であるサルモン神殿に収められていた黒真珠、その本体から離れた場所で活動していた魔の根源は魔物を生み出し、黒真珠を求めてイースへと侵攻しました。


イース、女神を支える六神官の長であるカイン=ファクト。

彼は女神に仕える身でもありますが、同時に魔道の名門ファクト家の当主でもありました。

あくなき力の探求はファクトの一族が求めるもの。彼は魔の根源を手に入れるべく女神を欺き、暗躍します。


カインは他の神官や女神にイースを地上から浮上させ、魔物の侵攻から逃れるように提言しました。

結果イースは天空へと浮上。

しかし魔物達は地上から空高く聳える塔を建立し、そこからイースに向かい侵攻を始めました。


カインの裏切りと計画に気付いた女神達は混乱を防ぐ為に腹心の6神官にも秘密にした上でクレリアの鉱山を閉鎖。さらにサルモンの神殿から黒真珠を持ち去り、封印するためにイースから姿を消してしまいました。


カイン=ファクトはダナンの里に住んでいる尾を持たぬ者たちの末裔に密かに接触し、女神が持ち去った黒真珠、つまり魔の根源を手に入れるようそそのかします。

セルセタの樹海の時代、過去の過ちを戒めにしているダナンの里でもグルーダのような者が現れる事となった尾を持たぬ者たちの末裔。この時も似たような事があったのは容易に想像できます。)

それによって魔導師ダレス、魔女ザバ、戦士キシュガルとエポナの兄妹がダナンからエステリアに現れました。


イースから女神が姿を消した事で、天空に浮上したイースでは混乱が起こっていました。

消えた女神を追い、イースの精鋭達は地上に降り女神が消えたという魔物が建てた塔に侵入。女神捜索が始まりました。


イースの精鋭達と闇を名乗ったダレス達の女神争奪戦は熾烈を極めました。

騒動の末、カインは暗躍の末に女神を捕らえ黒真珠を手に入れ、そこにあった魔の根源を取り込みイース2の最終ボスでもあった魔王ダームとなります。

しかしカイン=ファクトの息子達、兄トール=ファクトとユーゴ=ファクト兄弟の反発によってダームは倒され、最終的に黒真珠は女神達によって長きに渡り封印される事となります。


トールは使っていたクレリアの剣を今後起こる混乱の対策としてロダの根本に埋め、イースに帰り今回の騒動を6冊の本に纏めます。

ユーゴや共に地上に降りた6神官の血筋であるユニカ=トバ、リコ=ジェンマは地上に残り、昇華した女神を見守る事になります。

ダレス、ザバ及びキシュガルこの動乱で死亡。唯一生き残ったキシュガルの妹エポナはダナン里へ報告のために帰還。

ダレスやザバはこの時はまだダナンの里の人間ですが、ダームに「死後も下僕として扱ってやる」と言われる程気に入られており、後に復活したダームに使役されています。哀れ。



さらにそこから200年後、サンドリア地方のケフィンにアイシャという有翼人が訪れ、赤エメラスを用いて錬金術ホムンクルスといった技術が発展したり


フェルガナ地方で暴れ回るはぐれ龍神兵、ガルバランを封印したジェノスという有翼人の存在があったり


など、各地に有翼人の伝承は残されているようです。



ダーム封印から700年の時が流れました。

女神が地下深くに封じたクレリアや黒真珠は皮肉にも人間によって解き放たれます。


時代が過ぎ去ったせいか、クレリアの正体を理解せずただの銀と思うようになった人間はそれを採掘するようになります。

先祖からの教えか、土地を管理し採掘反対をしていた当代ファクト家。つまり地上に残ったユーゴ=ファクトの子孫ですが、この時に人間によって殺害されています。

そして一人残ったダルク=ファクトが黒真珠を持ち去り

イース』の物語が始まったのです。


あとはご存知の通り、エステリアに漂着したアドルによってダルク=ファクトは倒され、集めたイースの本によってアドルは天空にあるイースへと辿り着きます。

そこでイースにいたトール=ファクト家の末裔に出会い、黒真珠と決着を果たします。


その後アドルはセルセタの地で最後の有翼人であるエルディールと交流し、尾を持たぬ者たちの末裔の集落であるダナンの里に辿り着き、野望に燃え里を出奔し再び『闇』を名乗ったグルーダと対峙。それを下します。


アドルはその後フェルガナ地方やサンドリア地方での冒険を終え、6の舞台であるカナン諸島に辿り着きます。

そこでアドルはロムン帝国のエルンストという男と対峙します。エルンストはかつてナピシュテムの匣のマスターキーである黒エメラスの剣を持ち去り暴走させた尾を持たぬ者たちの子孫でした。

エルンストは錬金術で作られた使い魔を使役し、カナン諸島の大渦を止める事に成功します。

大渦を止めナピシュテムの匣に侵入したエルンストはアルマの封印を解き、先祖でもなし得なかったナピシュテムの匣の掌握に成功します。ナピシュテムの匣を使い世界を征服すると宣言しますがアドルはそれを阻止。

倒れるエルンスト。しかし黒エメラスの剣も失われ、ナピシュテムの匣は再び暴走を始めます。

アドルはナピシュテムの匣の中枢を破壊。これにより匣は完全に失われ、カナンは1000年以上前から続くしがらみから開放されたのです。


つまり闇の一族と有翼人との因縁は、しれっと6で決着がついていたワケなんですね。


さて長くなりましたがここらで筆を置く事にします。


最後に。

ファルコムさん、ケフィンのリメイクはまだですか?